静岡県伊東市の田久保真紀市長が掲げた“卒業証書”をめぐって、思わぬ波紋が広がっています。
市長本人が提示したのは、一見すると「大学卒業」を示すような証書。
しかし後の報道では、大学側が「除籍」扱いであることを認めたとされ、証書の真偽に疑問の声が上がっています。
今回は、大学の除籍制度と卒業証書の仕組みを整理しながら、この問題の本質に迫ってみたいと思います。
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卒業証書はもらえるの?卒業・退学・除籍の違いを整理

結論から言うと、「除籍」の場合、卒業証書はもらえません。
まず、大学の在籍状態には以下の3つがあります。
状態 | 卒業証書(学位記) | 卒業証明書 | 退学証明書 | 成績証明書・単位証明書 |
---|---|---|---|---|
卒業 | 〇(原則全員) | 〇 | × | 〇 |
退学 | × | × | 〇 | 〇 |
除籍 | × | × | ×(原則) | ×(出ないことが多い) |
「卒業」とは、必要単位を取得し、正規の課程を修了した状態。
大学からは「卒業証書(学位記)」が授与されます。
一方、「退学」は、学生本人が希望して大学を辞めるケース。
この場合は「退学証明書」や「成績証明書」が発行されます。
しかし、「除籍」は、大学が強制的に学籍を抹消する措置です。
多くの大学では、除籍者には在籍していたことを示す証明書すら出さない場合があり、「卒業証書」はもちろん発行されません。

今回、田久保真紀市長自身が「除籍と大学に確認した」と認めていることからも、本来は“卒業証書”を持っていないはず、ということになりますね。
除籍の理由とは?学費未納や出席・成績不良が原因のことも


除籍というと重い懲戒処分をイメージするかもしれませんが、必ずしも不祥事によるものとは限りません。
以下のようなケースも、除籍の対象になります。
よくある除籍理由
- 学費の未納
最も一般的な理由。支払い催告に応じず、滞納が続くと除籍。
- 在籍期間の超過(在学年限)
たとえば4年制大学では、最長8年までなど在籍できる上限があり、それを過ぎると除籍。
- 成績不良・出席不良
一定期間、単位をまったく取得できなかった場合や、履修登録だけして実質的に通っていない状態が続いた場合。
- 復学期限の未申請
休学後、復学申請をしないまま放置されると除籍。
- 重大な規律違反
不正入試、学則違反、懲戒処分など。
田久保市長は過去の報道や会見で、「大学後半は通えていなかった」と語っており、大学側からは「卒業ではなく除籍である」と確認されたとしています。
除籍の時期は不明で「不真面目な学生でいつまで通っていたというような通学状況ではなかった」と大学後半はまともに通学せず卒業式にも出ていないとした。
出典:スポニチ
学費未納かどうかについては本人から明言されていません。
しかし、通学実態がなかったことを踏まえると、「出席や成績の不良により必要単位を取得できず、在学年限を超えたことで除籍に至った可能性」が高いと見られます。
除籍通知について
大学で「除籍」になる場合、多くの大学では必ず学生本人に対して通知や通達が行われます。
一方的に学籍を抹消するのではなく、以下のような流れが一般的です。
- 成績や出席の状況に応じた「警告」や「履修指導」
- 状況改善が見られない場合、「除籍予告通知」
- 最終的に「除籍処分通知書」や「除籍決定のお知らせ」
通知方法は、書面や学生ポータル、大学メールなどさまざまです。
ただし、通学していなかった場合や、住所変更の未届・通知の見落としなどにより、本人が除籍の事実に気づかないまま年月が経つこともあります。
田久保真紀市長が「大学に確認して、除籍だと知った」と語っているのは、こうした通知の見逃しや誤解があった可能性も考えられるでしょう。



田久保真紀市長が学生だったのは30年以上前のことで、当時は大学からの連絡手段も郵送が主流。さらに本人は、「住所不定だった時期がある」とも語っており、大学からの除籍通知を受け取っていなかった可能性は高いかもしれません。
卒業証書を“チラ見せ”した真意と波紋


今回の問題がここまで注目された最大の理由は、田久保真紀市長が市議会の議長および副議長に“卒業証書らしきもの”を“チラ見せ”したという行動にあります。
見せたのは一瞬で、証明書全体の文面は明らかにされていません。
田久保真紀市長本人は、除籍であったことを大学に確認したと認めています。
つまり、本来なら「卒業証書」を持っているはずがないというのが大学制度上の原則です。
では、なぜ「卒業証書」が手元にあるのか?
可能性として考えられるのは以下の点です。
- 実際には卒業証書ではなく、別の私的な文書やコピーだった可能性
- 昔に手に入れたが、除籍後に無効化された書類である可能性
- 意図的に誤認させるようにしたのでは?という市民の不信感
SNS上では「これが東洋大学の実際の卒業証書です」として、卒業証書の実物写真を投稿するユーザーも現れています。
公職にある人物が、「卒業していない」可能性があるにもかかわらず、“卒業証書のようなもの”を掲げたとなれば、これは説明責任の問題に直結します。
市政の信頼を守るためにも、文書の正確な開示と、除籍の理由について誠実に説明する姿勢が求められています。



もし仮に、提示した文書が「卒業証書ではなかった」と気づいていたのならば、その時点で素直に謝罪していれば、ここまで問題が拡大することはなかったかもしれませんね。
まとめ
田久保真紀市長が“卒業証書らしき文書”を提示しながら、後に「除籍だった」と明かしたことで、事態は一気に混迷を極めました。
これは単なる学歴の話ではなく、説明責任・信頼・公人の姿勢が問われる問題です。
- 市長は「大学に確認したところ、除籍だった」と認めている
- 除籍者には、大学から卒業証書は授与されない
- 議長に見せた文書の正体は不明であり、卒業証書とは形式が異なる可能性が高い
- 卒業証書かどうか明言を避けるような発言もあり、不信が積み重なっている
30年以上前の出来事であり、通知が届いていなかった可能性もあるとはいえ、田久保真紀市長が“卒業証書らしきもの”を提示した行動そのものが、市民の信頼を大きく揺るがす結果となりました。
今回の問題はもはや伊東市という一自治体の“ローカルな問題”ではなく、全国的な関心事になっています。
今後、田久保真紀市長がこの件についてどのように説明し、市民に対して誠実に向き合うのか――
その一言一言が、伊東市だけでなく、全国の有権者から注目されています。
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